学生ノート
農村の母性対策を真剣に考えよう
pp.62-63
発行日 1965年6月10日
Published Date 1965/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203418
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私が農村実習に行った時,そこの保健婦さんに印象深い話を聞いた.その折のメモをたよりに書きつづってみたい.
生命の綱をつかんだK子ちゃんだったのに,「保健婦さん明日にも死ぬようなこの年寄りが,どうしてこんなに悲しまねばならないのか」病院では生かしさえすればかたわでもなんでもよいのか,このかわいいK子が聾だなんて」と老婆は私にとりすがって泣き出した.現在K子は1年9カ月,C大学病院で精検の結果,聾児と診断されてから3日めに訪問した時のことだ.「田でも畑でもなんでも売って治るものなら治してやりたいが,一生かたわで通るなんてあまりにかわいそうだ」とことばをつづける.ヘレンケラーという三重苦の人があって,などということばもかける気にならず,気持ちの治るのを待つ.
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