巻頭言
主体性をはっきりしよう
荒川 規矩男
1
1福岡大学第2内科
pp.103
発行日 1975年2月15日
Published Date 1975/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202716
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私が「呼吸と循環」という雑誌を知ったのは今から約15年も前,異国の研究室であった。クリーブランドクリニックの研究室で実験中にこの雑誌が回覧されてきたのである。どうしてだったのかわからないが,日本の雑誌なのにその号は確か英文で書かれていた記憶からすると,それが英文特集号として海外にまで献本か何かで送ってきたのかもしれないし,とくに当時クリーブランドクリニックには日本人留学生(主に循環器系)が多かったので届けられたのかもしれない。とに角回覧新着雑誌の中に偶々「呼吸と循環」を見出した。そのことが私に印象を強くしているもう一つの理由は,その雑誌を私に渡しながら,ボスが私に聞いた内容が面白かったからである。彼は「日本では論文の著者名に患者の名前も連ねるのか?」というのであった。こちらこそ驚いて問い返してみると,「だってどの論文にも沢山の著者名が連ねてあるが,使用症例の患者名でも入れてあるのではないのか?」。
私が曽っていたことのある日本の基礎教室(生化学)ではそんなことはなかった。その後,私は一旦臨床教室に移ってから間もなく留学したが,日本の臨床教室にはいって先ず異様に映ったものの一つに実は学会発表や論文に連ねてある名前の多さがあったのを憶えていた。
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