特集 医療と公衆衛生
医療機関と公衆衛生活動
東京の一開業医からみた保健婦活動
山本 理平
pp.119-122
発行日 1965年3月10日
Published Date 1965/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203359
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まずお目にかかれない東京の保健婦
私は大東京の1隅の,ささやかな開業医であるが,開業以前に公衆衛生院や,大学あるいは国立病院,肢体不自由児施設などで長く勤務しているうちに,仕事上保健婦さんとかなり濃厚に接する機会がときにはあったし,その中の2,3の方には今でも個人的にご交際いただいている.こういう体験や交際をもっていることを,私は職業上貴重な,ありがたいことだと思っている.なぜなら,すくなくともこの東京では,開業医のうち,私的公的を問わず,保健婦さんと生きた交渉を保持していたり,あるいはその経験のある者は果たして100といるだろうかと疑われるからである.この私にしても,開業以来,業務上で彼女たちと交渉をもちえたことは1回もない.ときたま届のことなどで保健所に行く際,広いオフィスの中を通りすがりに保健婦係とかなんとかフダがかかっている下に,それらしき婦人たちを認めて「ああやはりいた」と安心(?)するくらいである.
製薬会社などから殺倒するダイレクトメールの印刷物などにはもとより,月2回発行の分厚い日本医師会雑誌や,月1回発行の都医師会雑誌にしても,病院診療所の看護婦の問題はときどきとりあげられるけれども,保健婦となるとサッパリといってよい.
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