特集 先輩からのメッセージ
保健婦と保健婦活動
金川 克子
1
1東京大学大学院医学系研究科医学部地域看護学教室
pp.182-184
発行日 2000年3月10日
Published Date 2000/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902150
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はじめに
すでに古い話であるが,筆者は東京大学医学部衛生看護学科を卒業後,金沢大学医学部公衆衛生学教室の助手として主に学生の実習担当の任務にあたったのが保健婦の素養を必要とする活動の第一歩であった。そこでは重松逸造教授の指導の下で,家族を1つの単位とする保健管理の技法と実際を学ぶことが学生の実習教育のねらいとなっていた。
具体的には学生1人が1つの家族を1年間受け持ち,原則的には毎月1回定期的に訪問し,家族の健康や生活状況を把握し,家族の悩みや病気の処し方などについて相談にのるものである。また,年に1回,家族全員の健康審査を行うとともに,家族の健康状況に応じて途中2〜3回の管理検診を行うなど,医学的管理と保健管理が連携して行われていた。
筆者は約10年間,学生が担当している家庭(延べ約140家庭)に保健婦的感覚で接する中で,家族員の健康状況の中には相互に関連するものがあり,家族を1つの単位として観察し,家族全員を視野においた対応が保健婦活動にとって重要なものであると感じたものであった。ほぼ同じ時期に県立の保健婦学校が設立され,非常勤ではあるが学生の教育に関わる機会があり,早速,家族を1つの単位とした保健婦活動を実習にとり入れることに携わった経緯がある。
筆者はその後,これらの考え方を大切にし,看護教育の現場に身を置き,今日に至っているが,これまでの筆者の歩みを通して,保健婦と保健婦活動のテーマで後輩に伝え残したいことを述べたい。
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