特別寄稿
保健婦開業す
松野 かほる
1
1国立公衆衛生院
pp.73-76
発行日 1970年2月10日
Published Date 1970/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204618
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米沢さんとの出あい
9月の半ばに開催された国際労働衛生学会にはたくさんの保健婦が参加した。私も産業看護について勉強しなければならない必要から出席したのであるが,その会場で「私,こんど保健婦を開業しました。独立して仕事をするには勉強を継続して,つねにすすんでいく医学や看護,そして変っていく社会について力を養成しなければならないと思っています。だからこの学会にもでてきました。」この言葉と黒のスーツに身を包んだ小ぶとりの,体中活力のあふれたような1人の保健婦さんに私はひきつけられてしまった。もう少しくわしいことをききたいと思いながら学会の一刻の休憩時間も終ろうとしていたときだったので名前も場所も不明なまま,ただ兵庫県ということのみを知ったにすぎなかった。
何時か機会があったらという希望は思いのほか早く10月の公衆衛生学会の帰途はたすことができた。この機会にということで兵庫県の山上看護係長さんをわずらわせ米沢さんに紹介の労をとっていただいた。尼崎市栗山字砂田364助産婦,看護婦,保健婦米沢てるさんがその人である。「終日家から家にバイクを走らせています。どこにでも伺いましょう」こうして山上看護係長さんに案内されて本院の内田衛生看護学部長とともに兵庫県立厚生専門学院を訪れた。山上看護係長さん,保健婦科教務主任の馬場先生と話しながら待つほどに彼女はさっそうとしてやってきた。
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