研究
保健所保健婦の精神保健福祉活動の機能と役割—東京都の保健婦の意識調査から
浅沼 奈美
1
,
丸山 美知子
2
,
藤田 利治
3
1東京都多摩総合精神保健福祉センター
2厚生省看護研修研究センター
3国立公衆衛生院疫学部
pp.146-153
発行日 2002年2月10日
Published Date 2002/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902574
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■要旨
東京都(多摩・島しょ)では保健所の地域精神保健福祉活動の中核的な役割を保健婦が担ってきた。しかし現在,精神保健福祉士も誕生し,今後の保健所保健婦の活動のあり方が問われている。そこで東京都の保健婦に,今後強化すべき保健所保健婦の精神保健福祉活動,活動の自己評価,高めたい能力,自己覚知のための研修歴,職務外研修歴,希望する研修を調査し,これらと経験年数との相関をSpearmanの順位相関係数を用いて検討した。
結果は,以下のとおりであった。1)今後保健所保健婦が強化すべき機能と役割の上位3項目として,①精神保健福祉計画の策定,②学校保健と連携したこころの健康づくり,③市町村事業への協力・連携,であり精神保健福祉業務経験年数と「相談」「訪問指導」に有意な相関がみられた。2)保健婦の精神保健福祉活動の自己評価は,保健所経験との相関が最も高い。3)研修では回答者の6割が自己覚知の研修の場を職場内・外にもっていた。
今後は,①精神保健福祉に関する地域のニーズ把握,②こころの健康づくりにむけた地域システムづくり,③保健婦の専門技術の強化・充実,④保健婦の地域精神保健福祉活動技術の体系化と計画的な現任訓練,などの力量形成を図りつつ保健婦の利点を生かした新たな活動の展開が期待されている。
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