連続講座 保健指導の理論と実際・4
ペイシェント・センタードの概念
田中 恒男
1
1東大・公衆衛生学
pp.65-68
発行日 1965年1月10日
Published Date 1965/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203298
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グループ・ワーク論追補
わが国ではまだ完全なグループ・ワークが行なわれていないという論者がいる.その説明によれば,わが国で行なわれているのは,大部分がクラス活動であって,グループとしての主体性が少しもなく,便宣的に1カ所に集められ,与えられたプログラムにのっとって教育をうけ,たかだか若干の討議が行なわれているにすぎないではないか,という意見である.私も実はこの意見に賛成している.グループ・ワークにはグループとしての主体性が保たれなければならない.その意味で本来のグループ・ワークは,クラブ活動のような自主活動が中心となるべきであろう.
そのような形に活動をもってゆくのには,グループ・ワークに参与する専門家の役割がたいへんたいせつな鍵となることはいうまでもない.この場合のワーカーは,グループにおけるリード・オフ・マンではありえない.すでに前にものべたごとくあくまでグループとはつかず離れずの関係を保つもので,グループのリーダーシップはグループ自体のものでなければならない.もちろん,グループの感情・意志の統一がはかられるまでは,専門家の努力を中心としてグループのとりまとめがなされてゆく.しかし,いったんグループとなった暁には,専門家はその場をグループ内のリーダーにゆずることになる.しかしこのきっかけはその場だけでまとめられるものではなく,前からの準備がたいせつとなる.
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