コンタクトレンズ(54)
読めなくなった「金色夜叉」
長谷川 泉
1
1医学書院
pp.13
発行日 1964年9月10日
Published Date 1964/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203197
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ある大学の国文学科の卒業生の口述試験で「金色夜叉」の第1章を読ませたところが,ひとりも完全に読める者がいなかった.教授が慨嘆して曰く「国文科の学生で,こういうことですから,いったいどうなってゆくんでしょうね」と.
「金色夜叉」も,「こんじきやしゃ」とは読めなくなって,今のティーン・エージャーは「きんいろやまた」と読みかねないとはよくいわれる笑い話みたいなことであるが,上述の教授の慨嘆をよそごとのようには思えない.
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