読者からの手紙
要は誠意をつくすこと—「かけ出し保健婦から」を読んで
伊吹 マサ
1
1横浜市神奈川保健所
pp.9
発行日 1963年12月10日
Published Date 1963/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202986
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M様のお便りを拝見してほんとうに同感するばかりでございます.あなたからみれば,私どもなどはトウの立っている保健婦の中に入るのでございましょうが,していることといったらまことに大同小異,少しも変わっていないのでございます.ですからあなたが経験していらっしゃるケースのようなことも始終ございます.先日もスタッフの保健婦からこんな相談を受けました.
「TB患者で自宅療法,医師の指示は要入院です.訪問していろいろ話しあい,最後に『お医者さんは入院なさったほうがよいとおっしゃるのでしょう』といいますと,患者さんは不審な顔をして『いいえ,たいしたことないから自宅治療でいいよっておっしゃるからまあこうしているんですけど,私としてはまあできれば専門の病院へ入院して早く治してしまいたいですよ』と申しますので,主治医の所へまいりそれとなく先生のご意向を伺ったのです.ところが,『重症のケースですからね.一刻も早く入院して手術なり何なりしなけりゃいけないっていったんだけど,患者が,先生頼むから家で面倒みてくれってきかないんですよ.そのうちに保健所から保健婦さんが行ってくれて,きっとうまく話してくれると思ってあの書類出しておいたのですよ』というわけです.婦長さんいったいどちらを信用したらいいでしょう.」ベテラン10年選手の保健婦も弱っております.私もいっしょに弱ります.ほんとうに保健婦という人たちはどこまでお人よしなのでしょう.
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