看護の潮 看護学形成への探求
誌上看護研究室 第1のテーマ
要は外来診療体制の改善から
川上 武
1
1杉並組合病院(内科)
pp.18-19
発行日 1967年2月1日
Published Date 1967/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913025
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外来患者の問題点
最近の医療機関はひどく忙しい。厚生省資料によっても,1日の医師1人当たり患者数は,昭和30年には28人だったのが,昭和39年には45人と激増している。この間の医療技術の進歩を計算にいれると,医療関係者の仕事は質量ともにふえていることがわかる。いわゆる“待ち時間3時間,診療3分”といわれる不親切な診療も,医療関係者にとっても重労働以外の何物でもない。この流れの行きつく先は,医療の内側からの崩壊である。
この重大な徴候の一つは忙しい外来診療からおきてくる,医療の人間疎外である。ふつう医学的に必要とされている診察時間では,とてもさばききれないほどの患者を,医師と看護婦が中心になって,一定時間のうちにみなくてはならないのである。この結果,医師も看護婦も理屈はともかく一人一人患者を人間的に扱っていたのでは仕事がはかどらないので,病める身体として機械的にとりあつかうようになる。
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