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かけ出し保健婦から
松下 博子
1
1渋谷保健所
pp.9
発行日 1963年9月10日
Published Date 1963/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202911
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「お暑い中をご苦労様でしだ」「いかがですか?」「はァ,お蔭様でだいぶよくなったようで」
「予防法申請は4回目ですね.でもこの前はどうなさったんですか,1回申請をお休みになって…….治療をしてらっしゃいますかというお手紙がまいりましたでしょ?」(8カ月現状不明通信のこと)「ええ,それが………つい忙しいもんですからね,忘れちゃって,それに……もう……いいと思っちゃったんですよ」
これは結核予防法申請に来所したケースとか家族に対し,保健婦が療養状況把握や保健指導をしている一場面でございます.私はいつも思うのですが,患者さんは,いえ人は常に弱さを隠そうといたします.この場合もどうやら,最後のところが本音らしゅうございますが…….そうでした.先日も訪問にまいりました折,この手で2回もだまされてしまいました.気のいい私はすっかり信じ込んでしまい,まるで何か同然でございました.
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