特集 ガン対策の現状
ガンの看護をする中から—耳鼻科
森 ノブ
1
1国立がんセンター耳鼻科
pp.22-23
発行日 1963年11月10日
Published Date 1963/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202966
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■手おくれの多い入院患者
耳鼻科病棟に勤務していて感じることは,入院して来られる方の約半数が,治療の時期を失していることの痛ましさである.なぜこのように手おくれの患者が多いかというと,胃ガン,乳ガンあるいは子宮ガンのように世間によく知られていないこと,自覚症状があっても対症療法で緩和し,それをくり返していること,高齢者が多く,疾病に対して自覚がなく,反応が鈍いこと,地方の病院で保守的療法を行なっていて,どうにももてあましてセンターに回されて来ること,などがあげられる.たとえば癌研病院長の田崎博士が歯肉ガンで亡くなられた当時,耳鼻科外来には不安をもって多くの受診者がつめかけたと聞くが,それも記憶から遠ざかると,患者の来診も遠のくありさまであるし,また地方の小都市で6か月もの間,何らかの治療を受けていた患者が,腫瘍が喉頭をふさいで窒息寸前,息もたえだえに外来にかつぎこまれて来ることすらある.
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