Medical Hi-lite
ガン反応
N. M.
pp.50-51
発行日 1965年12月10日
Published Date 1965/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203524
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とにかく"ガン"はこわいもの
日本人の最近の主要死因が①脳卒中(中枢神経系の血管損傷),②ガン③心臓病,であることはこのところかわりない事実である.ところが,最近ある研究機関が農村婦人を対象にアンケート調査を行なった中で,知識の問題としてこのことを問うたところ,ガンと答えたものが一番多く,ついで脳卒中(高血圧),そして心臓病を第3番めにあげ,また一番こわい病気としては断然ガンとするものが多く,その他のものをあげた割合はひじょうに少ない結果であったという.このことからもわかるように,とにかくガンというものは一般にこわい病気として受けとられ,高血圧などもそれと同等に重視すべきにもかかわらず,その影になっているように思われる.このことは,ガンのおそろしさを一般に浸透させることには成功したが,そのために他の重要な病気に対する関心を必要以下に考えさせてしまっているとも考えられ,一般に対する衛生教育上あまり好ましくないことである.その責任は一面では公衆衛生関係者にあるが,また他面では案外ジャーナリズムにもその責任の一端があるのではなかろうか.
もっとも,一般の人たちがこう考えるのにもそれなりの理由はやはりある.
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