社会の動向
ダレスとガン
長谷川 泉
1
1医学書院編集部
pp.54-55
発行日 1959年9月1日
Published Date 1959/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201756
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米国の前国務長官として長い間世界の外交を切りまわしていたダレスがガンで死んだ.国葬に准ずる公葬の礼を以て遇されたのであるから,その功績がいかに大きく評価されていたものであるかが察せられる.その葬儀に列するために日本からは藤山外相が急ぎアメリカに飛んだのである.
病が重くなつてからも,アイゼンハウアー大統領は国務長官としての職務に,そして大統領顧問としての職務に多くを期待していたようである.これはいたずらなるポーズや,病人へのいたわりではあるまい.現在のアメリカがダレスという外交上の傑出した人物を必要としていたことを物語るものと見てよい.ダレスが死去した時の,伝えられるアイゼンハウアーの痛ましい哀悼の姿は人の心を打つものがあつた.それほどにダレスは買われていたということになる.
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