視座
間違いへの反省
佐藤 孝三
1
1日本大学医学部整形外科学教室
pp.177
発行日 1971年3月25日
Published Date 1971/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904519
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医師は患者から健康回復に関する一切を委ねられる.しかし患者の状態は千差万別であるから,ある者は全快し,ある者は障害をのこし,ある者は死亡する.医師はその間に最善と思われる治療を施し,あとは天命に委ねる以外にないが,いかなるときでも医師自らの手によつて患者の健康をそこなうことがあつてはならない.
しかしそうはいうものの,医師も人間であるから間違いをおこすことがある.その間違いのおこし方にはふた通りあるようである.その1つは知つていながらうつかりしておこす間違いであり,他の1つは知らずにおこす間違いである.前者は周到な注意によつて防ぐことができ,後者は勉強を重ねることによつて防ぐことができる.いずれも知識および経験の量と患者への責任感とが土台であり,これらに対する反省と不断の努力によつてのみ間違いを減らすことができる.
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