特集 母性保健指導のポイント
妊娠中毒症の現状と予防—中毒症の再検討
竹内 繁喜
1
1都立築地産院
pp.10-13
発行日 1963年5月10日
Published Date 1963/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202826
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はじめに
戦後妊産婦の保健指導が強調されるようになり,保健婦業務の内容も,その保健指導の分野にかなり拡げられてきた.にもかかわらず,一時はこの保健指導の効果がとかく批判の対象となりがちで,1947〜1957年ごろまでの妊産婦死亡率が停滞気味(1万対16)であったこと,妊娠中毒症患者が目にみえて減ってこなかったことなどから,その効果をうたがうむきさえ少なくはなかった.
しかし,医療業務関係者や予防医学関係者の不断の努力がやっと実を結んで,妊産婦死亡率は1960年度には11.6に落ち,子癇発作を繰り返すような重症中毒症患者はまったく影をひそめた.とはいっても,軽い中毒症患者は今日なお相当数みられ,中毒症の頻度もほとんど昔と変わらず,しかも,中毒症が妊産婦死亡の主因を依然として占めておることは銘記されねばならぬ.
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