今月の臨床 漢方薬—西洋医薬との使い分け
妊・産・褥婦
13.妊娠中毒症
江口 勝人
1
,
米沢 優
1
Katsuto Eguchi
1
,
Masaru Yonezawa
1
1岡山大学医学部産科婦人科
pp.1443-1445
発行日 1992年12月10日
Published Date 1992/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901107
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
漢方医学からみた妊娠中毒症
妊娠中毒症という病名は漢方医学の産婦人科にはない。漢方医学の場合,患者の主な自覚症状によって病名をつけるので,妊娠を契機として生じる浮腫,高血圧,蛋白尿などの症状に関する疾患は漢方産婦人科の「子煩,子腫,子暈,子癇」のことである(図1)。
漢方医学の立場からは表1に示す生理的変化が起こるとされている。妊娠中毒症の症状は図2に示すように漢方医学の弁証によると,高血圧は肝陰不足,肝陽上亢で,単なる浮腫は脾胃不足,腎気不足に加えて水液が体内に留まり,また高血圧と浮腫(蛋白尿)が同時に現われる場合は,脾虚肝旺のほうが多いというわけである。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.