書評
—松村 雄 編—『乳幼児保健』
和泉 成之
1
1長崎大学
pp.58
発行日 1963年3月10日
Published Date 1963/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202781
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予防保健医学の観点から執筆された保健婦に好適の書
従来の日本の小児科書はほとんどが診療書であり,またそれでよかつた.ところが戦後の小児科学はその様相を一変し世界各国特に文化国家では診療医学から予防保健医学へと方向を変えてきた.いうならば小児科学の在るべき姿になりつつあるわけだ.こういう近代の要求に答えて生れたのがこの乳幼児保健書だといえるのではあるまいか.
本書は次代の小児科を背負う新進気鋭の東京在住の士によって成つたもので,その中で最年長者の松村教授は身を挺して乳幼児の保健に当たつていられるその道の権威者であるので,監修者としては誠にその人を得たというべく,また,本書の編集にはあらかじめ全員よく遍意のない意見をたたかわしあつて筆を執られたということも,その内容や筆勢に意欲的な熱情的なところが表われていて現在の保健書というよりも来るべき時代へのものにしているともいえる.
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