らいぶらりい
—堀川直義・早坂泰次郎・共著—『看護婦の人間関係』/—松村 竜雄 編—『乳幼児保健』
幡井 ぎん
1
1虎の門病院
pp.32
発行日 1963年5月1日
Published Date 1963/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202536
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看護婦の人間関係を良好にするということは最終的には患者に対する看護内容を向上させることになると著者も随所にいっている.このことはもちろん当然のことながら,これまでただ単に概念的にしかとらえられていなかった,病院内での人間関係の中で看護婦の占める割合がもっとも大きく,また患者ともっとも密に接触するだけに,看護婦の人間関係のどこが問題なのか,どこをどう改善すべきかという核心が十分に把握されていかなければならない.その意味では,本書の中に取り扱われている.NRK従業員意見調書によるD病院,S病院,および看護協会講習会員に対する各項目別アンケートを集約して作成されたプロフイルは人間関係の改善の目途を一目瞭然に示してくれる,実態把握のための新しい方法である.
本書はこの現状分析に立脚して看護婦の対患者,対医師,対婦長,対同僚などの人間関係の問題点を明らかにし,最後に対人技術にまで論を進めているのであるが,また,こまかいことだが,職場設備の良否を問う項目(5項目)は医師の用いる,いわゆる医療設備,看護婦の用いる設備,その区別がもられていない.看護に要する設備が十分でないという病院もあると思われるので質問に対する答えが明確に提出されない悩みがあろう.福祉設備(4項目)にしても,寄宿設備が現在の看護婦の最大関心事でもあるので,その点がぼやけてしまうことになると考えるがいかがであろうか.
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