--------------------
医学のヒューマニズムへの道を—第3回社会医学研究会から
大谷 藤郎
pp.18
発行日 1962年9月10日
Published Date 1962/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202644
- 有料閲覧
- 文献概要
前日の台風が去つて,真夏とは思われない7月28日と29日の両日,京都大学楽友会館で第3回社会医学研究会が開かれ,なかなか盛会であつた.従来中心的であつた公衆衛生関係の医師のほかに,今回はとくに保健婦,臨床関係の医師の参加がめだつて多くなつていたが,それはすでにこの研究会が準備会を含めると,4回を重ねて,会の趣旨が漸く広く全国に知れわたつてきたからであろう.
ところで,われわれ公衆衛生と医療の従事者が,病める人,健康な人に対して,進んだ医学の成果をそのまま適用しようとした場合,複雑な社会機構の存在という壁にぶちあたり,なかなか理想どおりにゆかないで,もどかしい思いをするという経験は一再ならずあるわけであり,また一方で,劣悪な社会環境が,そこに住む人々の健康をひどくそこなつているという場合にも.一再ならず遭遇する.
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.