コンタクトレンズ(28)
24年ハスの開花を通して
長谷川 泉
pp.42
発行日 1961年9月10日
Published Date 1961/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202407
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もう大分古い話になつたが,千葉県検見川から発掘された2000年前のハスの実が,人工培養によつて発芽開花した.悠久2000年の長い間蓄えられていた生命のエネルギーは死滅することなく,のちの世にりつぱな実りを見せたのである.生命力の不思議さに打たれる話である.
この実験を遂行したのは,大賀一郎博士である.この実験の成功にちなんで2000年後に新しい生命を賦活したハスは大賀ハスと名づけられた.自然科学者である大賀博士は,ふとした偶然から検見川泥炭地出土の丸木舟とともに出土したハスの実を見たことからヒントを得て,その発芽能力の有無をためしてみることになつた.このような実験を企てた大賀博士の作業仮説には,一応の自然科学的自信があつたのである.そして,その結果は,みごとに成功した.
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