今月の臨床 計画妊娠—合併疾患への対応
精神病
24.てんかん
荻野 満春
1
Mitsuharu Ogino
1
1帝京大学医学部附属市原病院産婦人科
pp.1302-1303
発行日 1991年11月10日
Published Date 1991/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900622
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てんかんは,遺伝的負荷に起因する真性てんかん1)と後天的要因による症候性てんかんとに大別される。とくに,後者の症候性てんかんは,高度文明社会で遭遇するさまざまな災害による脳障害2)あるいは出生時の低酸素性虚血性脳症3)に起因するものなどが含まれる。すなわち,後者のような場合には,われわれすべてがそのリスクを負っているものといえる。したがって,てんかんという疾患は,従来のような社会的側面からみた閉鎖領域の疾患としてではなく,より開かれた医療ならびに社会的見地から対応されなくてはならない。
とりわけてんかん合併妊娠では,治療の主体が抗てんかん剤(anti-epileptic drugs:以下AED)によることから,罹患者である母体のみならず胎児・新生児においても極めて微妙な問題を含んでいる。そこで本稿では,妊娠時におけるAEDの薬物動態ならびに妊娠母体に及ぼす影響をふまえ,また当科で経験した症例成績を紹介しながらてんかん合併妊娠・分娩・産褥の基本的管理方針について述べたい。
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