特集 患者の情緒的要求と看護
乳幼児の情緒と看護婦の愛情
平井 信義
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1お茶の水大学
pp.18-21
発行日 1961年6月10日
Published Date 1961/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202341
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この十数年,小児病院における看護制度について,①母親や家族の面会を多くすること,②母親の付き添いを許すことおよびそのための部屋を用意すること,③よほどの重い病気でないかぎり家庭において病児の看護をすること--が欧米の著書に散見される.その方が,病気の経過にもよい影響を与えるというのである.
それは,病院における小児の看護にたいし,大きな不信から出発しているといつてもよい.いついかなる場合においても,1〜3歳ごろの小児の人格形成にとつて必要なものは,周囲の者の愛情であり,暖かい接触の仕方である.それが欠けると,子どもは身心ともに傷害を受けるし,とくに病児にとつての心の傷手は大きい.ところが,現在の病院の機構では,小児にたいし,母親に代わつて暖かい愛情をこめた看護が不可能であるという前提から出発している.したがつて,病院に小児が入院させられるかぎりは母親の付き添いを大幅に認め,それが不可能である場合には,家庭での看護をすすめるべきであるという.
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