特集 現代育児論
乳幼児の生活とその指導
平井 信義
1
1お茶の水女子大学
pp.18-22
発行日 1968年2月10日
Published Date 1968/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204111
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
乳幼児の生活の中を流れているのは発達という現象である。今日の子どもはすでに昨日の子どもはちがう。明日の子どもの姿は,また変っていく。このような変化は,子どもの年齢が幼なければ幼ないほど,著しく外に現れる。
このような発達は,子どもの内部から発現する力によって与えられていると考えてよい。一定の環境を与え,妨害因子を廃除しておけば,子ども自身の力で発達していく。身体発育は,栄養と衛生の条件さえ整っていれば,そして病気を予防すればその子ども本来の発育を実現するものである。精神発達にしても,適当な文化財が与えられ暖い人間関係の中においておけば,あとは,その子どもなりに発達を逐げていく。このように,子ども自身の中から発動してくる力を,成熟maturationと呼んでいる学者もある。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.