特集 生活をゆたかに
飾ることの意味
沢野 久雄
pp.12-13
発行日 1961年1月10日
Published Date 1961/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202243
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装えるひと
仕事場をホテルに持つようになつて,もう2年を越えてしまつた.月のうち20日余りは,東京京橋の「第一ホテル」で1人ぐらしである.
こんなに永く1つホテルで暮らしていると,そこで働く人びととも,次第に親密になつてしまう.フロントにいる女性たち,エレヴエイター係りの少女,グリルのひと,あるいは各階のステインョンにいるメイドさん,――一体,1,300の部屋を持つホテルに,何百人の女性が働いているのか私は知らないが,会えば大抵は目礼をかわす.立ち話しぐらいする人も,少くない.が,困ることがある.ホテルの外で彼女らに行き会つた時だ.
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