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ハイライト
T
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O
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X
pp.32
発行日 1958年12月10日
Published Date 1958/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201775
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菌交代性
めざましい進歩をとげた抗生物質の発達は治療医学にこれまでに見られない貢献をしたが,ここ数年来この抗生物質のために起る病気が注目されて来た.特に広範囲なスペクトルをもつ抗生物質を長期間,かつ大量に経口投与したような場合,病原菌が殆んど消滅しても,こんどは従来の抗生物質には,ほとんど感受性がなく,しかも今迄病原菌として余り重要視されなかつた各種の細菌及び真菌類がとつて代つて繁殖をはじめ,これがもとになつて感染症を起すものを菌交代症というようになつた.この内真菌類に属するCandida Albicansによるカンジダ症(モリニヤ症ともいう)の報告が特に多い.いろいろの説があるが,抗生物質が菌体に直接作用してその増殖を促がすという学者と,抗生物質療法に伴うビタミンB群欠乏症の結果,細菌が増殖しやすくなるためと考える学者がある.菌交代症は,テトラサイクリン系の抗生物質ではおこりにくいが,クロロマイセチンでは,起りやすい.それは腸管の中にとどまつている時間の長短の差によるものらしい.抗生物質によつて起る病気であるからその治療は困難であるが,最近は,マイコスタチンとという薬が登場して好成績をあげている.
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