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ハイライト
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pp.48
発行日 1958年9月10日
Published Date 1958/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201725
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シリコン・ガーゼ
外科方面の医者からガーゼを取去つたら,手も足も出ないだろうと思われる位,ガーゼは古くから実にさまざまな目的に使われて来た.傷口や病巣をおおい,出血を吸いとり,器具をつつみ,つなぎ合わせれば即ちヒモの代用となる.しかし誰でも知つている様に,傷口などに当てておくと,すぐ血液や分泌物によつてガーゼがヘバリついて,取かえる度に新生した細胞の層をはがし,新しい出血を起し,患者に苦痛を与える.これを防ぐため最近ナイロンの布をシリコンで処理した特殊なガーゼが現われた.これは普通の白木綿ガーゼの様な吸水力はないが,傷口には絶対に固着しない.これを傷口にかぶせて,その上から普通のガーゼをあてておくと,分泌物はナイロンの網の毛細管現象で,普通のガーゼによく吸い取られる.又このシリコン・ガーゼの上から薬品を塗布することも出来,滅菌しても変質しないという便利なものである.
包帯交換をする医者や看護婦にとつても朗報であるが,処置される患者にとつて,あのガーゼをはがされる苦痛がなくなるわけであるからまことに朗報である.家庭で治療できる子供のカスリ傷などにもおいおい普及される事と思う.
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