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ハイライト
P
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K
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O
,
X
pp.40
発行日 1958年3月10日
Published Date 1958/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201597
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セロトニン
古くから知られている物質が新しい意義を認められて再認識されることは,よくあるが,このセロトニンも,10年位前に発見された血中の昇圧物質であるが,近年この物質が脳の特に視床下部と呼ばれる部分に多いことがわかつて来て,その脳内における役割について,いろいろ新しい考え方が盛んになつて来た.幼覚を起す薬の或るものは,脳内セロトニンの作用を抑制する.これに対し精神分裂病の治療にも用いられるレセルピンは,脳内セロトニンを自由な利用出来る形にすることが知られている.こういうことから精神分裂病は,セロトニンの欠亡によつて起るのではないかという仮説も唱えられて来た.
この他にも,脳下垂体を調節する作用があるとか,副交感神経の中枢の作用に関係するとかいわれている.又カルチノイドという腫瘍が,腸管に出来ると,血中のセロトニンは,非常に高くなる.又,血液の凝固にも関係するなど,その生理的な意義は知られて来たものでも,かなり多い.今迄は全く手のつけようのなかつた精神病の原因の一部を,こういつた物質の変化から解明しようとして行く試みは,注目に値する.
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