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ハイライト
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X
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pp.38
発行日 1958年4月10日
Published Date 1958/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201615
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クロレラ
人口が加速度的に増加してゆくと衣食住すべての点に深刻な問題が起つてくる.太陽エネルギーの蓄積である石炭,石油などの地下埋蔵量も計算によると近々で底をつくので原子力のこの方面の転用が焦眉の急になつている.
食生活にも一大転換してゆかねばならない.昨年暮,中央線国立の近くに出事上つた"日本クロレラ研究所"は世界でもこの方面の先駆者になつている.クロレラは東大医学部・田宮教授が20年もまえから研究していた植物の炭酸から同化作用の研究の副産物であり藻の一種である 同じ面積に栽培して得られる植物の蛋白質の分量をしらべてみるとクロレラは小麦の100倍,米の60倍,大豆の20倍といわれ,炭酸ガスを太陽エネルギーによつて蛋白質にする能率が格段に勝れている.クロレラは蛋白質のみならず,脂肪含水炭素・各種ビタミン類・葉緑素を多量に含んでいて粉末としてパン等に混入すれば結構味の良い食品になるそうだ.しかし,これが食品として登場するまでには大きな苦労が払われた.技術面でも資金面でも,それを漸く乗り越えて工業化,量産の第一歩をふみ出したのが,"日本クロレラ研究所"というわけだ.
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