手紙
やむにやまれぬ心
小島 ユキエ
pp.32
発行日 1958年3月10日
Published Date 1958/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201592
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前略御免下さい
私は北海道は新参者でございまして昭和31年8月埼玉県においとまして渡道した者でございます.
整備された内地の保健婦として比較的恵まれた立場にあつて大変ゼイタクな脳みを持つた私はそのときの地位が(埼玉県保健婦会書記長,保健所婦長)実力なのが周囲の協力や私自身の背影によるものなのか非常に疑問をもちました.仕事はしやすく理想はすぐ実現されました.しかしそれは栃木県での5年間の経験やジバンというようなものがかなり埼玉での私の地位というようなものを支配しているように思えてなりませんでした.自分にもし実力があるなら如何なる土地にあつてもバツクや協力がなくても或る程度の仕事が出来る筈と思いましたとき,やもたてもたまらず自己の力の限界をこの眼で身体で確めたいと渡道を思い立ちました.
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