連載 開拓保健婦に看護のルーツを探る・15
婦人会をつくり小学校を設置
小島 ユキエ
pp.382-383
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207322
- 有料閲覧
- 文献概要
悪道路,水不足,学校が遠いのが致命的
私の手許に昭和32年12月1日付けの「北海道開拓新聞」があります。"生活はもとより,生存線にも達せぬ根釧地帯の実態"の見出しで開拓地主婦のアンケートの集約記事が掲載されています。並んでこのアンケート調査に奔走した大橋さんの意見が載っていたので,医療問題,保健問題を除いた問題を抜粋してみましょう。
"東西に24キロ・南北に20キロの西標茶に開拓農家105戸があちらの谷間,こちらの谷間に入植しました。昭和25〜26年次です。しかし,この地域も急な山坂を登ったり下ったりの連続で,砂利の入ってない道は雨の降るたびに泥水の川となり,春先は5月末まで歩けません。開拓者の第1の願いは年間を通じて人間が歩ける道路を整備することです。第2は水の供給です。高地では70尺掘っても水は出ず,1キロ以上離れた谷川から水を汲んで運んだり,冬は雪を溶かし,夏は雨水を利用しています。将来は酪農以外に希みのないこの地域だけに水資源の確保対策は切実な希いです。第3は小学校まで近い所で8キロ,遠い所は14キロもあり,低学年はほとんど通学できません。将来を担うこれらの児童が通学できるよう分教所の設置が急務である。"という問題提起でした。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.