講座
高血圧治療学校に於ける看護法
田辺 八重子
1
1国立名古屋病院
pp.31-33
発行日 1957年12月10日
Published Date 1957/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201542
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学校の目的
高血圧症とは血圧が高く,降圧剤の注射をすれば治るものとされ,血圧が高ければ注射をして血圧の下降をはかり,薬の効能が無くなれば,又注射をする.このように何度も何度も同じ事を繰返している中に,症状の悪化を見ると云う例が,多々ある様に見受けます.高血圧は薬だけで箇単に治つてしまう様な訳には参りません.薬も近来色々新薬が発見されましたが,未だなんといっても食生活,生活の改善が最も重要な療法でございます.そこで当病院では高血圧症の方を1回に10人位入院して載き,詳しく化学的な検査をして生活法,特に食生活の改善法をお教えすると共に,其の人の症状に応じて合理的な治療を行い,退院後は専門の外来で御指導する訳でございます.ですから,この入院は高血圧の治療のコツを会得して載くのが主な目的でありますので,これは高血圧治療学校での入学と云う事になります.私達看護婦が高血圧症患者の取扱については正確な見解を持つ必要がある訳でございます.高血圧症の患者さんは一様に脳溢血にて死ぬのではないかと云う不安感があり,堪えずいらいらして居ります.食餌療法,日常の生活態度の改善,只それだけに依つて,血圧の安定を保ち,長生き出来ると云う事を,患者さんにお教えするのでございます.では其の食餌療法とは,日常の生活とは,口ではたやすく申せますが,仲々むつかしく,又わかり憎く,守れないものであります.
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