特集 上手な話し方
上手なことわりかた
小堀 杏奴
pp.96-99
発行日 1957年5月10日
Published Date 1957/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201417
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与へられた題名の,この「上手な」と云ふ言葉に,私はこだわる.どんな種類の事柄にせよ,ことわられていい気持のする人は無い.どんなに言葉を飾り立てても,後に残るものは,ことわられたと云ふ,厳然たる事実である.この問題にとつて,最も大切なものはなんだらう?
其の「上手に」と云ふのが,相手に悪感情を持たれない為に,自分の立場をよくする,極端に云へば,上手な云ひ廻しや,見せかけの言葉でその場をごまかすとか,切抜ける,自己本位の感情であるか,又はことわられた事によつて,相手に与へる心の打撃を出来るだけ軽いものにしやうと考へる,思いやりの心からの事か,この二つの方法によつて,問題の根本が決まると云つてよいだうう.
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