特集 上手な話し方
忠告のしかた
林 塩
1,2
1日本赤十字社看護課
2日本看護協会
pp.92-95
発行日 1957年5月10日
Published Date 1957/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201416
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「忠告のし方」について書くようにとの注文を受けたのですが,私は元来あまり人様に,忠告等しないことにしているものですから,その仕方についても研究をしていないので,その任にあらずと思いお断りしようと思つたのですが,私自身が,これはまことに利己的な考方でありますが,人様から忠告を受けるのは嫌でありませんので,「忠告のし方」を逆にして,「忠告のされ方」の立場から,どんな風に忠告して貰うのが望ましいか,感情的にレジスタンスを感じないで容易に受け入れる様な気持になれるか,等を書いて見ることにして,注文を引き受けることにしました.
「忠言は耳にさからう」のとおり,多くの場合に,忠告は耳に快いものではありません.人間誰れでも,程度の差こそあれ,自惚心を持つていて,自分はそう悪くはない.他人からも良く思われている筈だと考えているので,褒められれば“それ見ろ”とばかり,につこりして,嬉しくなるものですが,反対に,あなたはこういうところが良くない等といわれると,何となく不愉快になり勝ちであります.又自分が性格上の欠点を,自分でよく自覚している場合に,その欠点をそのものずばりと指摘されると,矢張り,耳に快いものではありません.
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