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公衆衞生学会の印象
小倉 学
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1東大教育学部健康教育研究室
pp.43-44
発行日 1957年1月10日
Published Date 1957/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201333
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10月19日から3日間に亙つて名古屋大学で開かれた公衆衛生学会総会は,シンポジアム3題,討議会1,研究発表534題という例年にない充実ぶりでした.ことに府県衛生行政機関である保健所,県衛生部,衛研(これは行政機関ではないかもしれませんが)などが独自に,あるいは大学と共同で発表したテーマを数えてみると半数近くの260題もありました.このことは公衆衛生行政の科学化という面に明るい見通しを与えてくれるものだと思います.研究の内容についてはいずれ抄録号が出るようですからそちらにゆずることにして,シンポジアムを中心に私なりの印象を書くことにします.
第1日午後のシンポジアム「Health Education」は学校保健学会と共催で開かれました.もともとこのHealth Educationという横文字をテーマにせざるをえなかったことが,厚生省系統の衛生教育という言葉と文部省や学校保健関係者の使う健康教育という用語の統一されてない現情を示しているわけです,このシンポジアムはそれぞれの領域での問題を分析すると同時に,両者の統一の可能性や一貫性の必要さを検討する意味で効果があつたと思います.とはいっても最初の歩みよりでもあり2時間の間に結論めいたものを出すことは出来なかつたようです.
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