特集 慢性疾患—明日の公衆衛生のために
胃・十二指腸潰瘍の看護及び生活指導
甕 忠子
1
1東京逓信病院外科
pp.79-81
発行日 1956年5月10日
Published Date 1956/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201177
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I.潰瘍の患者
ここに主として外科的療法の対象となれる胃・十二指腸潰瘍の看護,生活指導について私達の日常の病室勤務を中心として述べ度いと思います.
外科的療法をうける患者の数は年年増加していますが,それでも手術をしないで治るものならと念願し,迷つている向きもないではありません.外科的治療を好まない患者の気持を分析してみますと,手術に対する恐怖即ち痛むということが主になつています.次いで麻酔の効果をどの程度に信じたらいいかその不安,胃を切り取つたら一体喰べ物はどうなるだろうか,元の健康体になれるものだろうか,短命なことはないか,そんな大手術だつたら経費も相当かかるのではないか等々であります.しかしこれらに対する危惧は取越苦労でありましよう.確かに外科学の進歩は目覚しい限りで,手術を目標として万全を期したあらゆる前処置,麻酔,後処置が化学療法と共に実施され,肺臓は勿論脳の手術から,更に考え得られないような心臓の手術まで行われる時代です.このように外科的分野が拡大されていることは手術に対し遺漏のないあらゆる対策が講じられているから出来るものと考えます.
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