特集 OTの臨床実践に役立つ理論と技術―概念から各種応用まで
第6章:精神・心理に関するもの
5.回想法
来島 修志
1
1日本福祉大学
pp.793-798
発行日 2013年6月20日
Published Date 2013/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100196
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はじめに
臨床においてOTは,高齢の患者や利用者が昔取ったきねづかを大いに話してくださったり,古い生活道具やメンコ等の遊び道具を見て笑顔で手に取りその使い方を教えてくださったり,すり鉢のゴマをすりこ木ですりはじめ得意げな表情を見せてくださったりして,回想法の手応えを実感する経験が少なからずあるだろう.回想法は,筆者もそうであったように,理論を学びハウツーを習おうと意識する以前に,経験的に「楽しい」,「よい反応が引き出せる」と認識されることが多い.ただ若手OTの多くは,高齢の患者や利用者がどのようなことを懐かしく思い,子ども時代や若いころにどのような生活スタイルを経験されてきたのか,想像もできないだろう.そこで,認知症をもつ対象者の作業療法場面に回想法を積極的に取り入れていただくために,回想法が広まってきた経緯とその効果をふまえ,具体的な回想の引き出し方を紹介していくこととする.
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