Japanese
English
巻頭言
過去の回想と今後の期待
Recollections and Expectations
加藤 豊治郎
1,2
Toyojiro Kato
1,2
1東北大学
2国立仙台病院
1Tohoku University
2Sendai National Hospital
pp.659
発行日 1957年10月15日
Published Date 1957/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200537
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
巻頭言を書けとの下知をうけ,標題の如きものを書いてみたが,私共の過去の仕事に触れたことは御寛容をお願いする。
呼吸循環の基本は血液の呼吸にある。私は第一次大戦の始まつた頃CambridgeのLangley教授のところにいたが,偶ま同教室でRespiratory Function of the Bloodの著書で有名なBarcroft先生と一しよにいて,氏の識見に敬服し,二三の共同の仕事をしているうち,蔵器の官能が活動するときのその血流量や酸素消費量等の変化を犬の横紋筋や唾液腺に就て検測し,その知見をLondonのRoyal Societyの合同で,古風な儀式の下に発表した1)。その測定法は現今の臨床的な方法に比べて原始的で,今昔の感が多い。帰国後大正5年頃私共は家兎に就て脳循環を検測し色々の実験をやつたが2),それは今日のKetyの方法と違い,静脈血はv. tempor. superfic. から採り,その血流量やO2含有量などを基本とした方法であつた。Barcroftはその少量の血液のO2含有量を測定するdifferential manometerを以ても有名だが,現在は米国流にvan Slykeのが主として用いられている。大戦中英国で硝子技術者が動員せられてそのマノメーターの正確な毛細管が出来ないので,それを送つて呉れとBarcroftから筆者に依頼してこられたことも一つのエピソードであろう。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.