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世界の波
末松 満
pp.42-43
発行日 1956年3月10日
Published Date 1956/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201138
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15円の風呂銭が20円になるか,どうか--庶民の生活にとつては一大事であるこのさわぎも,元を洗えば東京都が,今年1月1日から水道料金を3割6分ほど引上げたからである.東京都電運賃は2月1日から3円値上げで13円となつたし,吉野運輸相の話によると,9月から鉄道運賃も1割5分がた上るかもしれない.鳩山首相は国民に対し,税金を下げると公約した手前,4月からサラリーマンの所得税だけは雀の涙ほど減ることになつた.すなわち月給3万円,家族4人の場合は,月に375円ほど助かるのである.しかし,政府はこの減税による穴埋めとして,砂糖の輸入税を1斤あたり4円50銭から8円40銭とするそうだ.恐らくは砂糖会社は苦しまぎれに,小売値段を引上げるにちがいない.結局はみなさんがたの台所に響いてくるのである.
直接に,また間接に,国民から吸い上げる金によつて,役人は一体なにをするのであろう.その一番大きなものとして国家予算を見ると,4月から来年3月末までの1年間に,政府は1兆349億円を使うことになつている.前年にくらべて434億円増え,いわゆる「1兆円予算」の枠をはるかに突破した.一番金を食うのは貧乏な地方財政を救助するための交付金で,1,600億円あまり,次が公共事業費と防衛関係費で,いずれも約1,400億円である.
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