講座
オランダ見たまま—活溌な保健事業
宗像 文彦
pp.46-49
発行日 1955年11月10日
Published Date 1955/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201060
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一風変つたお国柄
オランダといえば,日本人なら一応名前ぐらいは知つているし,オランダ人形やチユーリップ,海面より低いといわれる平野と,そこに立つている風車小舎など,女の子ならすぐ思い出すだろう.少しガクのある方なら17世紀の此の国の黄金時代には,国勢大いに伸長して我が国にもオランダ船の往来があり,徳川の鎖国時代を通じてオランダ人のみは長崎出島に居住を許されていたこと,そのころオランダ医学が我が国にも伝わつたことなど,歴史的にも我が国となかなか関係の深い国であること位は知つておられるだろう.
だが,いよいよオランダの国を訪れてみると,此の国は他のヨーロツパ諸国とは一風変つた国柄であることが判つて,ちよつとまごついた.第一に主都はアムステルダムだと称せられているが,ここは経済,文化の中心ではあるけれども,王宮と政府機関はヘーグにある.ヘーグに行つてみると,王宮はあるが現女王陛下はその中にはいないで,ずつと田舎の方にある離宮にお住いである.それぢや女王が国の行事にお出ましになるのに不便だろうと思うかも知れないが,離宮から,ヘーグ,アムステルダム,ユトレヒト,ロツテルダム等の主要都市には自動車で一時間位で行けるのだし,一番遠い所でも数時間で行けるのだからさして御不自由もないらしい.
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