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病院見たままの記
大渡 順二
1
1保健同人社
pp.27-32
発行日 1964年1月1日
Published Date 1964/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202271
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平素はよその国みたいに思っている病院も,自分が入院し,または近親,友人が厄介になると,急に他人事ではなく,いろんなことが事新らしく感ぜられてくる。いい点,嬉しい点,いやな点,その他いろんなことが目についてくる。この雑誌は病院関係の専門家が読む雑誌だから,私が逆立ちしてきばってみたって,病院批判なんかできるものではない。だからここではまったくの素人である私が,病院に接触して感じたことを,そのままむき出しにならべてご参考に供しようというにすぎない。おもちゃ箱をひっくり返したような雑観のなかから,一つでも二つでもお役に立たせていただければ嬉しい。もちろん,ただの一つも役にたたないかもしれない。ご自由である。そのかわり,心臓強く,歯に衣きせないで放談させていただく。
門前の小僧が習わぬ経を読むような言い方だが,まず第一にお願いしたいことは,病院のオープン制を一日も早く,どこからでもいいから,着手していただきたい。厚生省が主な国立病院から実施するのが一番の常道だが,私たちはそれも待てない。完全オープンでなくていい。既存の病院のままで,随時に病室の一つでも二つでも開放して,特別の患者を特別の医師に利用させてほしい。セミ・オープン制である。私立大学病院か民間病院のほうが手っ取り早くていい。あるいはセミ・オープンまでゆかなくても,外部から医師を迎えて対診が自由に出来るような制度でもいい。
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