講座
正しく美しく話すために(7)
村崎 敦雄
1
1ラジオ東京編成局
pp.26-30
発行日 1955年9月10日
Published Date 1955/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201016
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摩擦音
前号では破裂音と鼻音について説明したが,これらと全然発音のしかたの異るものに摩擦音がある.摩擦音というのは,発音器官の一部を極く狭くして於て,ここを声又は息が通過する時に生じる音である.例えば両唇を狭くして,ローソクを吹消す時のようにフツというのはΦという発音記号で表示される摩擦音で,Φuとなつて日本語のフの発音となる.又,上歯裏と舌先で狭い通路を作つて息をスーツと出した音はsで表示されるもので,日本語のサスセソの子音となる.同じ場所で声帯の振動を伴つた声をズーツというように発音すればザズゼゾの子音zとなる.この二つの場合,前のsが無声子音で,zの方が有声子音であることはもう御承知のことと思う.尚,シの音とジの音は,サ行ザ行の同じ行にあるが,発音する場所がちがい従つて発音記号も異つたもので表示される.
この二つの音は,口蓋化といつて発音点が上歯裏の所から硬口蓋の所まで退却して,硬口蓋と前舌面で狭い箇所を作つて摩擦音が作られる.このうち無声のものがʃで表示されてʃiとなつてシの音となり,有声のものがʒiとなつて,ジの発音となる.
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