講座
正しく美しく話すために(3)
村崎 敦雄
1
1ラジオ東京編成局
pp.26-29
発行日 1955年5月10日
Published Date 1955/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200948
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声はどうして出るか
人間の声はどんな過程で出されるか? これは楽器などから音が出るのと,少しも変りはない.今,ヴアイオリンを弾くとすると,まず適当な緊張を持つて張られた弦の上を弓が摩擦して音が生じる.そして,この生じた音が,薄い板で複雑な形に作られた胴という共鳴箱で共鳴し,その音が増大きれると同時に音色が美しくなるのである.この場合,弦が音源となる物体であり,弓でこの上を摩擦することが,音源に与えられる物理的刺激である.
人間が声を出す場合に,音源となるのは喉頭(Kehlkopf)にある声帯(Stimmbänder)であつて,音源に加えられる刺激というのは肺臓から排出される呼気であり,共鳴腔となるのは鼻腔,咽頭腔胸腔等である.
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