講座
正しく美しく話すために(5)
村崎 敦雄
1
1ラジオ東京編成局
pp.26-31
発行日 1955年7月10日
Published Date 1955/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200981
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発音に入る前に
前号までで,そもそも音というものから人間の声が出されるまでの概略を述べた.続いて述べることは,かくして発せられた声を日本語という約束の中で定まつている特定の音にすること即ち発声である.
この文章を続けて行くのに,私はしばしば困難に出会つた.というのはこう云つた種類の話を筆と紙だけで伝えるのがいかに難しいかということである.声だてのやり方にしても共鳴のさせ方にしても,指導する人とされる人が向きあつて実地にやれば何でもないことが莫大の手間を要するのである.そして,それでも効果が達せられれば,まだしも,どうしても紙上では伝えることの出来ない事柄がある.
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