講座
正しく美しく話すために(4)
村崎 敦雄
1
1ラジオ東京編成局
pp.40-44
発行日 1955年6月10日
Published Date 1955/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200966
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声帶
前号では呼吸について述べたが,本号では声を出すために最も重要な器官である声帶(Stimmbänder又はStimm lippen声唇ともいう)について述べることにする.
声帶は気管の最上端,下咽頭腔の直ぐ下にある.成年の男子に見られる所謂喉仏の所が声帯が甲状軟骨のうしろにある部分である.この喉仏をAdam's Apple(アダムの林檎)ともいうが,これには次の様な面白い話がある.昔,人間がまだエデンの園に居た時分,蛇の誘惑で智慧の実を食べた.その時代でも女は食い辛棒なのでイヴはサツサと先へ食べてしまつた.一方アダムはまだ食べ終らないうちに智慧の実だけは食べてはならぬと禁じた神様が突然あらわれた.アダムはビツクリして残つた実をガブリと呑みこんでしまつた.それが未だに男の喉に残つているというのである.
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