講座
四つ目の表(2×2表)をめぐつて—統計の生きた使い方(その13)
平山 雄
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.42-45
発行日 1955年7月10日
Published Date 1955/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200985
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1.はじめに
今回からは,今迄に充分触れなかつた事柄で,是非お話したい事項を,特別に順序立てることなく,楽な気持でお話して見たい.皆様もそのつもりで読んで戴きたい.
荒つぽい例で恐縮であるが,例えば.柔道でも,相撲でも,得意技というものがある.ある体勢に相手をひきずりこめばもうしめたもので,楽々と自家薬籠中のものにすることが出来る.「左四つ」になればもうこつちのもの,勝利を8分通り握つたも同然,といつた所謂得意技は,個人個人によつて異るであろうが,とにかく,私は,統計の使い方においても,この得意技に相当するものがあると思う.そして私自身も統計を使う場合の「得意技」として,いくつかの領域を特に努力して自分のものとしている積りであるが,表題にかかげた「2×2表」はその代表的なものなのである.どのような種類の統計を取り扱う場合にも,一応,「2×2表」の形にならぬかと考えて見る.もし,「2×2表」の形にまとめることが出来れば,それからの取り扱い方は,きわめて楽なのである.道に迷つた時でも,ある所まで来ると,もう歩み慣れた道だ.あとは定跡通り歩めばよいと楽な気持で自信をもつて足を進めることが出来るが,丁度そのように,「2×2表」の形になれば,展望が急に開けた感じで,型通りの計算を一寸それに加えるだけで,重要な結論が次々とその表から出て来るのである.
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