若き母の手記
家の人から喜ばれた四つのこと
佐々木 葉子
pp.26-28
発行日 1953年11月1日
Published Date 1953/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200478
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私は昭和27年12月30日黒石村助産所に入所し,今年1月9日退所した産婦です.昨年7月私達の村に助産所ができ,私達胎兒を抱えたものとしての喜びは何にもたとえようがなかつたのです.農村に住む私達は現在のような生活の不安と過労に苦しむ環境から,私達母体を保護するそのような施設を作つて頂いたことを感謝しております.
この助産所が開所致しますと,1人2人とその数が増して今では常に室が満員という状態と聞いております.まず私も入所する前に退所した方からよく樣子を伺つてみましたが非常に設備が良く総べて安心しておられる上大変感じが良いところだとの事でしたので,私も早速入所の手続を済まして,その日の来るのを待つておりました.私は自宅分娩2度という経験もありますので,助産所に持つて行くべき物は大体準備しておつたのです.やがて腹痛をおぼえる日がまいりましたので,リヤカーで助産所に送られ入所いたしたわけです.自宅分娩と異り保健上の指導母乳の与え方,離乳期における指導栄養指導等了供を持つものとしてとうぜん必要な事柄を数多く懇切丁寧に指導していただき無事分娩し,分娩後10日間で退所致しました.助産所へ入所して感じました事は,分娩室の設備の立派なこと,その他事務室、産室,助産婦室,炊事室,便所等種々の設備の良い事,日光,風通しの良い事,用事のある時はベルで知らせる等便利にできている事がまず第一印象でございました.
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