解説講座 対談
止血機構をめぐつて(2)
浅田 敏雄
,
江橋 節郎
pp.151-156
発行日 1967年6月15日
Published Date 1967/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902729
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血小板の意義
江橋 それから,血小板の機能につきまして。昔は非常に血小板の機能が重要視された。ところが耳にはさんだ所では,血小板というものの役割はどうもはつきりしないということをよく聞くのですが,血小板がなくてはやはり凝固は起こらないものでしようか。それとも血小板というものはある程度役割をはたすけれども,不可欠のものではないという……。どつちなのでしようか。たとえば先程お話があつたthrombopeniaでは血液の凝固にそれほど支障はない,というふうな点……。
浅田 ですから血小板の数が非常に減少しても,血小板の関与する血餅退縮現象は非常に落ちてきますけれども,凝固のほうはあまり凝固時間の延長は見られない。しかしその場合でも数からいえば相当ありますので,有効量の10倍も20倍も上回つているくらいの量で,われわれはたつぷり血小板をこの凝固系には持つているという意味で……。もう一つはplasmaを血小板freeにするということが普通の遠沈操作ではほとんど困難なわけです。
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