講座
肺切除の最近の進歩
塩沢 正俊
1
1結核予防会結核研究所
pp.14-21
発行日 1954年11月10日
Published Date 1954/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200834
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肺結核の治療法
以前といつてもここ数年まえのことであるが,肺結核の治療といえば,安靜を主とした内科的治療法と胸廊成形術を代表とした外科療法であつた.ところで最近ストレプトマイシン(SM),パス(PAS),イソニコチン酸ヒドラヂツド(INAH)など各種特効薬の登場によつて大きな改革がもたらされた.かくいうものの今迄あつた安靜療法が不必要になつたのではなく,安靜療法の上にこれらの特効薬が使われて始めて,その偉力を充分に発揮しうるわけである.
これらの時効薬が卓効を現わすことは既に周知の通りで,日を追つてX線写眞はよくなり,喀疾のなかの結核はみえなくなり,体重はふえ,血沈はおそく気分もよくなるなど,凡ゆる症状の好転が目につく.しかし,ここで注意しなければならないことは,いまのべたような病巣あるいは全身症状がよくなる(好転)ということが必ずしも病巣の完全な治癒を意味するものでないことである.
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