音樂講座
"ワルツ王"ヨハン・シユトラウスのウインナワルツ
山本 金雄
pp.60-63
発行日 1954年10月10日
Published Date 1954/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200828
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今から130年前の1825年ウイーンで生れたヨハン・シユトラウスは明治32年1899年ウイーンでなくなつた純粋のウイーン子で,父のヨハン・シユトラウスは「ワルツの父」として「アンネン・ポルカ」「ラデツキー行進曲」の他殆んどワルツ曲を作曲すると同時に,当時の人気者ランナーと共にウイーンを2分する人気があり,ウイーン風なワルツを創り出した作曲家である.又弟のヨゼフ・シユトラウス及びエドアルト・シュトラウスも共にワルツ作曲家で殊にヨゼフ・シュトラウスには「オーストリアの村つばめ」「天体の音楽」という現在でもよく演奏されるワルツがある.そしてヨゼフ・シユトラウスは「ワルツのシューベルト」とも呼ばれ,シユーベルト風の旋律をよく用ひた.「オーストリアの村つばめ」は,燕の声をまねしながら,初夏のウイーンの郊外の田園風景を描いたワルツであります.
父ヨハン・シユトラウスが創り出した「ウイーンナワルツ」以前に於てもワルツの歴史は,割りに新しく,父シユトラウスが1804年に生れているに関らず,1809年に死んだハイドンには「ワルツ」の曲は作つておらず,僅に「ワルツの動きで」と指定された以外には見当らず,モーツアルトの歌劇「ドンジョヴアンニ」にワルツが出て来,ベートーヴエンの1819年に作曲した「11のウイーン舞曲」には4曲のワルツが入つている.
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